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音楽家のジストニア、予防法はこちら!
とても大事だから、最初に載せます!
予防方法①:力んでしまう難易度の動作を反復練習しないこと
難しいと感じる速度では、力みや負担を伴いやすいので、心地よく楽に弾ける速度で時間をかけて練習すること。
気長にゆっくり練習しているうちに、いつの間にか楽に速く弾けるようになっているくらいが良い。
予防方法②:動きを体と脳に染み込ませないこと。
勝手に動いてしまうのではなく、全ての動作が随意的であることが理想的。
動作を自在に変えられること、動きを分解できること、指を独立して動かせることを確認しながら、あらゆる動作をバランスよく取り入れて練習すること。
ジストニアに繋がるリスクのある練習法
こちらも大事だから先に載せます。
ジストニアに繋がる練習習慣
- 特定の苦手なフレーズを力んだ状態で繰り返す
- 休憩を挟まずに、長時間同じ動きばかり繰り返す
- プレッシャーやストレスを感じながら練習する
それぞれの対処法:
1.力まないためにもゆっくり練習する
弾きにくいフレーズを弾きにくいなと思って繰り返すのではなく、「手をリラックスさせて心地よく弾ける速度」に落として練習する
2.こまめに休憩して、あらゆる動きをバランスよく練習する
3.段階を経て難易度を上げる
これらは、神経内科医である青嶋陽平先生に教えていただきました。
青嶋先生はご自身でもフォーカルジストニアを発症され、それがきっかけで神経内科医の道に進まれ、大学院で音楽家のジストニアの研究をされました。
現在、リハビリ指導をメインとしたジストニア改善プログラムを実践していらっしゃいます。
上記の「予防方法」の内容は、青嶋先生の診療経験及び先生自身の闘病体験から導き出されたものだそうです。
ジストニアについての講演会に参加して
さて。改めて。
先日、「ジストニア」をテーマにした講演会に参加してきました(青嶋先生の講義とは別のものです)。
音楽に関わる方の中には、ジストニア、という病気を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ジストニア全般に関わる内容で、後述のフォーカルジストニアに限った内容ではなかったのですが、楽器奏者専門ケアを取り扱ってる私にはとても興味深い内容でした。
自分自身の学びのためにも、ジストニアについてブログにまとめてみました。
ジストニアとは
ジストニアとは運動障害の一つで、骨格筋の持続のやや長い収縮、もしくは間欠的な筋収縮に特徴づけられる症候で、異常な(しばしば反復性の要素を伴う)運動のことです(ジストニア診療ガイドライン2018より)
噛み砕いていうと、自分の意思とは関係なく筋肉が過剰に収縮してしまい、体の一部がねじれたり、同じ姿勢を取り続けてしまう神経疾患です。
ジストニアの特徴
- 動作特異性
特定の動作でのみ症状がみられる - 常同性
ジストニアによる異常運動や姿勢が一定 - 感覚トリック(知覚トリック)
ある知覚入力によって一次的に症状が改善する
などが挙げられます。
そして、ジストニアという疾患の一つの大きな分類に、「音楽家のジストニア」があります。
音楽家のジストニア(フォーカルジストニア)とは
音楽家に多いのが「フォーカルジストニア」と呼ばれる、特定の動作・特定の部位に限って症状が現れるタイプのジストニアです。
音楽家の場合は、楽器を演奏するときの手指や唇、歌手の声帯に症状が現れます。
初めのうちは漠然とした違和感を感じるだけで、体の異常となかなか気づきにくく、単なる練習不足だと思いがちです。
徐々に進行するに従って、指の屈曲などの筋肉の緊張・収縮をコントロールできなくなります。痛みを伴うことは稀です。
主な症状には、指や舌が素早く反応しなくなった、指が内側に曲がったまま伸びない、手や腕、顔、首などの筋緊張や震えが起こったりします。
音楽家によくみられる疾患に腱鞘炎やばね指などがありますが、
これらと違うのは、演奏直後に症状が現れ、演奏をやめると問題がなくなる点です。
フォーカルジストニアの具体例
- ギタリスト
人差し指、薬指、小指の組み合わせでギターを引こうとすると左手が固くこわばってしまうため、左手を回転させなければ指がフレットに乗らない→中指と薬指がギターから離れてしまう。
ギターの代わりに上腕に左手を当てると、指は問題なく動く。 - ダブルリード楽器奏者
ジストニア症状が発現するパッセージの演奏になると、あごが後ろに引かれ、正しいアンブシュアが形成されない。
別のパッセージの演奏では正しいアンブシュアを保てる。

感覚トリックについて
感覚トリックとは、演奏方法を少しだけ変えたり、もしくは何かを使って患部を刺激することで症状が改善したり消失したりすることです。
よく使われるのは輪ゴムで、うまく動かない指の根本を輪ゴムで束縛すると症状がなくなったり指が正常な位置に戻ったりするケースが見られます。
フォーカルジストニアの原因
フォーカルジストニアの原因は
- 演奏できないことがアイデンティティに直結する
- 「練習していないと思われたくない」
- 誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまう
こうした心理的な側面も、症状を複雑にしています。
「練習不足ではないのにできない」
この感覚は、演奏家にとって非常につらいものです。
ジストニアと鍼灸
講演会では、データに基づいて有効性が検討されているツボもいくつか紹介されました。
鍼灸は、筋肉だけでなく神経系の働きにも影響を与える可能性があると考えられています。
ただし、ここでとても重要なのは、
一度の治療で劇的に改善するものではないという点です。
継続的に体の状態を整え、変化を見ながら進めていく必要があります。
原因と治療法は、まだ確立していない
現時点では、ジストニアの明確な原因は解明されていません。
また、「これをすれば必ず治る」という治療法も存在しないのが現実です。
だからこそ、
・早い段階で異変に気づくこと
・一つの方法に固執しないこと
がとても重要だと感じています。
私が出会ったジストニアの患者さん
これまでに、フォーカルジストニアではないジストニアの患者さんを担当したことがあります。
体のある部分が、常に一定の方向に震えながら向いてしまう症状でした。
周囲の筋肉をゆるめ、経絡を通すことで一時的な改善は見られましたが、
それだけでは不十分だとも感じました。
この経験から、
鍼灸だけで完結させようとするのではなく、西洋医学と連携する必要性を強く実感しました。
今後について
今後、私の治療院にジストニアの方が来院された場合、
フォーカルジストニアを専門とする神経内科医とも連携しながら対応していくつもりです。
「鍼灸で何でも治す」ではなく、
それぞれの専門が役割を持って支えることが大切だと考えています。

ジストニアは“努力不足”ではありません。
違和感を感じたら、自分を責める前に立ち止まること。
それが、演奏人生を守る第一歩だと私は考えています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。










